徒 然 草 2005年7月
31日
(日)
灯台の母親は、結婚したときに一握りのヌカミソを貰ってきて、それを基にヌカ床を作り、以来亡くなるまでの30数年間、一度も腐らせることなく維持しまし
た。
夏になると、ナスやキュウリのヌカ漬けが食卓を飾りましたが、いや、絶品でしたねえ。
先週、長野に行った際、米を買ったらおまけにヌカを貰ったので、ヌカ床を作ってみました。基となるヌカミソがないので、毎日手入れしてもまともに漬けら
れるようになるまで3ヶ月くらいはかかるみたいですし、母の作ったようなのは夢のまた夢ですが、少し頑張ってみましょう。
そう言えば、母は「他人がさわると味が変わる」と言って、絶対にヌカ床には触らせてくれませんでしたねえ。
30日
(土)
Star Wars Episode III を見てきました。
まずは、これだけの物語を世に送り出してくれたジョージ・ルーカスに感謝。
映像は、さすがですね。指輪もすごいけれど、あれは単に金かけてるだけ。Episode IV
以来、その時代の最先端の技術を用いて映画を作ってきただけあって、ジョージ・ルーカスは「見せ方」を心得ている。これはやっぱり、余人にはマネできない
なあ、と思いましたね。
ストーリーは、最後の方で無理久里辻褄を合わせたところはあるけど、まあ、ご愛嬌でしょう。ともあれ、オープニングのファンファーレと、エンディングの
2つの夕陽(これがまた、Episode IV
で養父母を殺されたルークが2つの夕陽を眺めるシーンとまったく同じBGMを使ってるんだよね)を見た時は、思わず泣けてきましたね。
これでやっと、長い長い物語の円環が閉じたなあ。はぁ。
29日
(金)
郵政民営化法案の参院での採決は8/5と言われてますが、国会の会期は8/13まで。自民の執行部側としては多数派工作に時間をかけたいだろうから、採決
は実際には会期末ギリギリになるんじゃないかな。ともあれ、来週は面白そうですね。
28日
(木)
「皇室典範に関する有識者会議」が「論点整理」なるものを発表したけど、わざわざ整理なんかしなくても明白じゃん。
現行制度の問題点は、「このまま行けば、継承者がいなくなる」こと。これに対する選択肢は、どう考えたって、「女系天皇を認める」か、「旧皇族を再度皇
族にする」かの、2つしかない。
女系天皇のメリットは「国民の支持がある」。デメリットは「伝統に反する」。
旧皇族の再登板はその逆で、メリットは「伝統に合う」で、デメリットは「国民の支持がない」。
現憲法施行以降、この国のシステムは「伝統に反して」大きく変わった。皇室も例外ではなく、国民の税金で食べるようになったと言う大変革が生じた。この
ため、それ以前は以前はやんごとなき方々の間だけで決めることが出来た「次期天皇」も、今ではスポンサーである国民のコンセンサスが必要になった。
でもって、今の時代のコンセンサスは、「女性が天皇になって何が悪い。時代が変わったのだから、古い伝統にこだわる必要はない。」 これは、新聞社なん
かのアンケートでも如実に現れている。
更に言うと、戦後60年、皇室はメデイアを最大限に利用してきた(現天皇の結婚式がTV受像機の普及率増大に大きく貢献したと言うのは象徴的)。皇族の
婚約・結婚・出産・成長。こうしたイベントで、折に付けメディアに露出することで国民からの親近感を得、親近感のある人間が皇位を継承することは当然と言
うムードを醸し出してきた。
「旧皇族の再登板」を認めた場合、出生時からのメディア露出のない=親近感のない人間が天皇を継ぐことになる。これはつまり、国民の皇室離れを招くだけ
でなく、「本来なら愛子様(=親近感のある人間)が継ぐぺき皇位を、こんな男が奪って行った」と言う憎悪まで背負う事になる。これは、「こんな奴を税金で
養う必要は無い」=天皇制廃止に繋がる。
まとめると、「女系天皇=伝統を捨てて天皇制存続をはかる」か、「旧皇族の再登板=伝統を守って将来天皇制が廃止されるリスクを負う」かの、どちらを取
るか。
ただし、間違えてはいけないのは、徳川幕府がつぶれても徳川家が残っているように、日本国憲法から天皇制が消えても、天皇家が消滅するわけではない。そ
の意味では、かつての冷泉家のように、「一市民として伝統を守る」と言う選択は当然あり得る。
実を言えば、関係者が望んでいる究極の解決策は、「皇太子の娘と旧宮家の男が結婚して、男の子が生まれる」事なんだけど、「結婚は両性の合意にのみ基づ
く」と日本国憲法に書かれている以上、これを大っぴらにできないのが悩みの種だったりするんだけどね。
27日
(水)
今回のディスカバリーには宇宙用ラーメンが搭載されたとかで、開発メーカの会長で、かつてチキンラーメンを開発した95歳のじいさんがTVに出てきたけ
ど、ディスカバリーには六●亭のス
トロベリーチョコ(フリーズドライした丸ごとイチゴにホワイトチョコをコーティングしたもの)も載ってるんだぜ。
こちらは、これを食べた宇宙飛行士が感動して、搭載が決まったもの。六花亭の社長も記者会見に出てきて、「あちらはJ●XA御用達ですが、ウチは
NA●A御用達ですからねえ」くらい言ってもいいのに。
26日
(火) ディ
スカバリーはとりあえず無事に上がりました。しかし、打上げ直前まで、ニュースは台風一色。野口さんも運が無いなあ。
25日
(月) 6/10の徒然にテクノスーパーライナー(TSL)を巡るドタバタの話を書きましたが、結局の所、
TSLの小笠原航路への導入は白紙になったようです。時速70km出ると言っても飛行機の足元にも及ばないし、燃料代は普通の船の5倍。これでは、他に引
き取り手は無いだろうなあ。百億円超の金をかけて作ったTSLも、試験運行終わったら即スクラップか。
TSLの船主は(株)テクノ・シーウェイズです。2000.12の設立時には資本金2億円で、TSLを建造する三井造船の100%出資でしたが、
2002.5に資本金32.8億円に増資すると共に、出資者も増えています。
現在の出資者は、三井造船が10億円で筆頭株主。日本政策投資銀行が9.8億円。船のキーとなるガスタービンを納入する石川島播磨重工が3億円。小笠原
海運の親会社である日本郵船が2億円。川重・住友重機・日立造船・三菱重工・日本鋼管・三井物産・三菱商事が各1億円。日本通運と日本海洋科学が0.5億
円。
TSLが廃船となれば、各社とも出資額の3倍くらいを被らなければなりません。筆頭株主の三井造船は30億円。営業利益が160億円の会社にとってはイ
タい額です。この後起こるであろう、責任の押し付け合いが見ものではあります。
24日
(日)
朝食を食べて(これも美味しかった)出発。麦草峠を越えて佐久側に入り、野辺山の電波天文台へ。その後、清泉寮でソフトクリーム舐めて、2軒ほど直売のお
店に寄って帰宅。中々良い休日でした。
23日
(土)
3:30起床。眠む眠む。 4時に家を出て、中央道を西へ。途中、雨が降り出して、大丈夫かなあ。
車山のリフト乗り場に着いたのは8時過ぎ。リフトに乗って車山山頂に出て、そこから八島湿原までハイキング。車山の肩の辺りはニッコウキスゲが満開でし
た。ただ、ガスっていて八ヶ岳や南アルプスの展望が効かなかったのは残念。あと、車山肩のキスゲは満開なんだけど、他の所はチラホラで(本当は、ビーナス
ライン沿線全体が黄色く染まる)、これは謎。
八島湿原のレストハウスで地ビールを飲んだ後、バスで車山に戻り、車で女神湖へ。白鳥の形をした足漕ぎボートで湖を周る。6匹の子ガモを連れた母ガモが
いて、可愛かった。あと、湖のほとりのテニスコートにヘリが着陸したので、何かと思って見に行ったら、救急車が来ていて、病人を乗せて飛び立って行きまし
た。
今日の宿に入って、夕食までに風呂に入って
少し昼寝。夕食はフレンチ。すごく美味でした。食いしんぼの嫁さんも大満足。
22日
(金)
グアム滞在中に個人向け国債関連のTV番組を見て、個人向け国債に関して一部理解不足等があったことが判明したので、以下、7/16の続きと言うことで。
個人向け国債の発行条件
期 間:10年。ただし、発行後1年を経過すれば、国が額面で引取る。
額 面:1万円以上1万円単位。
利 子:年2回、所定の口座に振りこみ。支払い時の長期金利マイナス0.8%。ただし、最低0.05%。
発 行:年4回。
発行開始:2年前。
発行残高:14兆円。
発行条件を見ると、変動金利で将来の利上げにも対応し、途中解約可能なことでインフレにも対応している等、買い手のニーズを良く考えたシステムになって
いると思います。財務省のお役人にしては、よく考えてます。しかし、2年で14兆円も売れたとは、ちょっと驚きです。確か、最初に発行する時の売り上げ目
標は年に0.8兆円くらいだったはずですから。
さて、問題はインフレが来たらどうなるか。インフレが来た時の物価上昇率ですが、灯台は年間700%(1年で物価が8倍になる)くらいかと思ってます。
これが3年続いて、最終的に500倍。こうした局面ではもちろん金利も上昇しますが、しかし物価上昇には追いつきません。となると、国債を解約して、外貨
なり金なりを買った方が良いことになります。
個人向け国債の発行残高は、このまま行くと5年後には50兆円くらいになります。そのうち、発行後1年以上経過している40兆円強が買い戻しの対象にな
ります。しかしながら、いきなり40兆円を買い戻せと言われても、国に
そんなお金があるはずもありません。40兆円といったら、1年分の税収に匹敵するわけですから。となると、ルールを曲げるしかない。いくら反則だと言われ
ても、無い袖は振れませんから。
例えば、買い戻し請求してからお金を支払うまでに1年とかすれば、その間にインフレが進んで、実質的な払い戻し額は5兆円で済みます。
こうした事が下敷きにあると(どうせこうした内容は、その内週刊誌が、そのうち記事にするはずですから)、何かの弾みで取付け騒ぎならぬ個人国債解約騒
ぎが発生し、それがインフレの引き金を引いてしまう可能性があります。国債発行の多様化による国債の安定を目指したはずが、売れすぎたために逆に不安定化
を招いてしまった、と言うのが、灯台の見方です。
21日
(木) ス
ペースシャトル「ディスカバリー」の打上げが遅れています。今回のミッションは国際宇宙ステーション(ISS)とドッキングしなければならないため、好き
な時に打って良いと言うものではありません。宇宙に行っても、そこにISSがいなければ意味が無いからです。ISSとドッキング可能な打上げのタイミング
は、1日に10分間のみ。この10分に打上げられなければ、翌日になります。打上げが1日遅れた場合、ISSの軌道の関係で打上げ時刻は25分くらい早く
なります。
現在、スペースシャトルは夜間打上げが禁止されています。「コロンビア」の事故は、燃料タンクから剥がれた断熱材がシャトルの耐熱タイルを傷つけたため
に起こった訳ですが、同じ事が無いよう、今後の打上げでは多くのカメラで打上げ時の状況を撮影する事になっていて、そのためには昼間でなければならないの
です。
このまま行くと、8/1には打上げ時刻が朝早くになってしまい、打上げられなくなります(最近NASAは、「光の加減があまり良くないが、何とか8/4
までなら打上げ可能」と言い出してますが)。再び打上げ時刻が昼間(太陽が出ている時間帯)になるのは9月になってから。打上げが遅れれば、お金もかかる
しスケジュールにもインパクトが出る。何とか7月中に上げたい。しかし、安全性をないがしろにする訳にもいかない。と言うのがNASA陥ったジレンマで
す。
異常が起こった場合、その場で短時間で対処法を立てるのは間違いが発生する可能性があるので、予想される不具合については予め対処方法を決めておいて、
管制官はこれに従うことが求められています。今回の打上げ遅延は、液体水素タンクのセンサ4個の内の1個が異常を示したことにありますが、現在のフライト
ルールでは、「問題を起こしたセンサは4個全部が正常でないと打上げてはならない」と決めてあるため、打上げられないのです。
NASAは不具合の原因究明を行っていますが、ある程度までは絞り込んだとは言え、まだ原因はハッキリしません。原因を絞り込んで対策を取っても、そも
そもセンサの異常はタンクに極低温(-250℃)の液体水素を入れた時に起こったので、再度タンクに液体水素を注入して不具合が起きないことを確認する必
要があります。液体水素の注入を試験として行うのか(この場合は、その後一旦水素を抜く)、打上げ準備の一環として行うか(この場合は入れたまま打上げ)
ですが、NASAのサイトには、「7/26の打上げに向けて、土曜日(7/23)に‘The countdown will
start’」とあるので、通常の打上げ準備の一環として行うようです。
液体水素を入れて異常が出なければ良いのですが、問題はセンサの異常が再発した時。
打上げ時に耐熱タイルが
傷ついた場合、宇宙飛行士はISSに避難し、45日以内に救援のシャトルを打上げます。その救援用の「アトランティス」も発射台に向かったそうですし、セ
ンサの異常が直らなかった場合はルールを変更してでも、「ディスカバリー」を打上げてしまうと言う話も囁かれています。
ともあれ、「ディスカバリー」は発射台に突っ立ったまんま。真夏のフロリダはクソ暑いですからねえ。シャトルに積み込まれた●花亭のチョコレートが
溶けてしまわないか、心配だ。
20日
(水) 今年の紅白は、曲を投票で決定ですか。新曲出しても1,000枚も売れないような演歌歌手がゾロゾロ出ることに批判が出て
いるので、そのエクスキューズですか。
きっと、ネットからの投票は1投票当たり1/10,000票で、はがきで投票したじいさんばあさんは、1投票当たり20票に数えるんだろうな。でない
と、2ちゃんねらーの意向で曲が決まってしまうから
19日
(火)
出かけていた関係で亀ネタになりましたが、知床が世界自然遺産登録。これで、「知床の自然を守るために、年間200万人の観光客を半減させねば。まずは知
床横断道の廃止と、ウトロ・羅臼以北は一般車立ち入り禁止。」となったら拍手喝采なんだけど、実際は関係者の欲の皮張りまくりだからなあ。
野球とソフトボールがオリンピック競技から削除。まあ、ローカルスポーツだし当然でしょう。
18日
(月)
昔の忍者マンガとか時代劇映画では、城の抜け穴とか吊り天井の工事にかかわった大工達を、完成したら殺して秘密を守るシーンが良く出てきました。
今回のロンドン爆破の実行犯たちは往復キップを買っており、本人達は生きて帰るつもりだったようです。スイッチを入れてから爆発するまで、しばらく間が
あると教えられていたらしい。実際は、口封じのために、スイッチを引いたら即座に爆発するようになっていた。。。
イギリスの鉄道では、片道運賃にちょこっと上乗せするだけで
往復キップが買えます。1日2日で戻る事が分かっていれば、往復キップを買うのが常識です。また、往復キップは片道キップ同様、自動販売機で駅
員と顔を合わせることなく簡単に買えます。
17日
(日)
グアム雑感
グアムを中心に半径2,500kmの円を描くと、日本列島、台湾、フィリピンが入ります。これはつまり、グアムから東〜東南アジアの主要地域まで、戦闘
機なら3-4時間、艦船でも2-3日で行けると言う事です。
第一次世界大戦後、日本は南洋諸島の信託統治権を得ますが、グアムだけは別でした。アメリカが手放さなかったのです。それは、こうした地政学上の理由に
よります。これは、今でも変わりません。
日本から3時間半でいける気軽な外国・グアム。マリンスポーツにショッピング。でも、それだけではないんだなあ、と言うのを感じました。
9日(土) インフレが起きたら、物価はどのくらい上
がるのか(通貨価値はどのくらい下がるのか)。
インフレが起きて、国債が実質数分の一になったところで納まったとしても、今のままならまた十数年すれば借金が限界を超えてインフレになります。その状
況下ではインフレは中々止まらないでしょう。
インフレを止める唯一の方法は、増税と超緊縮財政で、国の支出を収入以下に抑え、借金がこれ以上増えないことを内外に示すしかありません。2005年を
例にとれば、税収+その他収入−国債費=30兆円で、一般歳出+地方交付税=64兆円です。その差34兆円。消費税を20%にすれば14兆円くらい税収が
ふえるでしょうから、あとは一般歳出+地方交付税を30%カット。
それができれば、インフレは止まるでしょう。出来なければ、最悪貨幣価値1/1,000まで行くでしょう。マクドナルドのハンバーガーが1個10万円。
1,000万円の貯金があっても、ラーメン2杯しか食べられない。
さて、どうなりますか。
嫁
さんは今日は礼文の「8時間」を歩いたみたいで、明日は筋肉痛だろうなあ。
8日(金) さて、我が国債(円)は大丈夫なのか。
現在、国債発行残高は600兆円弱ですが、他に借入金や地方債なんかを足すと、広義の意味での国の借金はまもなく1,000兆円を超えます。
世の中には「日本は世界最大の債権国であり、世界最大の外貨保有高を誇る。そこらの貧乏国と一緒にしてもらっては困る。国債が暴落してインフレが来るな
どありえない。と言う人がいます。確かに、アルゼンチンがGDPの半分の財政赤字でハイパーインフレになったのに、GDPの1.5倍を超える日本にインフ
レが来ないのは、対外債権のおかげでしょう。しかし、「世界最大の対外債権」と言っても200兆円。「世界最大の外貨保有高」も100兆円です。1,000兆円の借金を支えるには、いささ
か心もとない。
インフレで一番助かるのは、借金をしている人です。逆に、一番困るのは貯金している人です。言い換えれば、インフレとは借金を貯金で相殺することです。
国の借金が1,000兆円。一方、日本の金融資産はあまり正確な統計はないのですが、1,200-1,400兆円と言われています。もし、国の借金が金
融資産を超えてしまうと、いくらインフレを起こしてもチャラにできない。逆に言えば、国の借金が金融資産を超えそうになった段階でインフレ
が起こると言うのが、神の見えざる手でしょう。
日本の借金は年間70兆円くらい増えてますから、あと3年で、いつインフレが起きても不思議のない状態になります。ただし、いつ起こるかを正確に予想す
るのは大変難しい。インフレは、心理学的な一面がありますから。戦争みたいな外的要因がきっかけになる場合もありますしね。
こ
の項
続く
7日(木) 日銀が国債を引き受けるとどうなるか。当
然、市場は疑心暗鬼になります。政府は国内の機関投資家に強力な行政指導を行って、国債を売らないように指導するでしょうけど、海外の投資家まではコント
ロールできません。
国債発行残高の1%が売りに出ただけで6兆円。日銀の過去の為替相場への介入の最高が7兆円/月ですから、国債発行残高の数%が売られただけで、買い支
えられません。国債相場は暴落し、長期金利は急上昇するでしょう。そなれば、投機筋が円売りに走りますから円安になり、輸入品の値段が上がります。インフ
レの始まりです。
国債が大量に売れ残れば、インフレは必死と言う訳です。国がバックについている国債と言うのは、本来民間企業である銀行なんかよりは余程安全なは
ずで、それが売れ残るのはその国(通貨)が市場の信用を失った事の証左。インフレになるのは仕方ないことでしょう。
こ
の項
続く
「稚内行きのANAの得割が取れた!」と言うわけで、嫁さんは北へ
旅立っていきました。今日は礼文の民宿に泊まってウニを食べ、明日は桃岩荘だそうです。
灯台も一緒に行こうと思えば行けたんですけど、島における灯台の時間は既に尽きてしまっているのでね。島には本当に楽しい思い出が詰まっているので、も
う一度行ってそれが壊れるのがイヤだ言うのもあります。
6日(水) 国債が全部
売れるかどうかを議論する前に、売れ残ったらどうなるかを考えてみたいと思います。2005年度の国債発行額は137兆円。この内の5%、約7兆円が売れ
残ったとしましょう。
対策としては、支出を減らすのが挙げられます。2005年度の一般歳出と地方交付税の合計は63.8兆円ですから、国も地方も、歳出を一律10%カット
す
れば何とかなる計算です。公務員の給料は10%カット。公共事業も10%カット。小中学生の教科書は10人に9冊・・・。
机上では何とかなるかもしれませんが、役所の予算の硬直性というのは凄まじい物ですし、売れ残りが発生するのが年度末だったりすると、それから歳出を
カッ
トしても間に合いません。
増税によって収入を増やす手もあります。消費税率を1%上げれば、6,000億円〜1兆円の増収になりますから、消費税率を7〜12%上げて
12〜17%
くらいにすれば、国債の売れ残り分を賄えます。しかし、法律を改正しても実際に増収になるのは翌年度からなので、これまた間に合いません。
デフォルトを宣言して、満期が来た国債への支払いを停止する手もありますが、これをやってしまうと国際的な信用が失墜して、エラい事になるので、食料と
石
油を輸入に頼っている日本では無理でしょう。食料とエネルギーが自給できれば、開き直ることも可能ですが。
残る手段は、国債の日銀引受しかありません。日銀は輪転機を回せばいくらでもお金が刷れるので、そのお金で売れ残った国債を購入する。国債の日銀引受は
禁
じ手とされていますが、国家財政が崩壊の危機に立たされれば、四の五の言っていられません。
ところで、その時国債を持っていたらどうしますか? 「何かヤバそうだな。今のうちに国債を売って、金でも買っておこうか。」と思うでしょう。国債の投
売りが始まります。
放っておくと債券市場での国債の値段が下がります。利率1%・残り期間5年・額面100万円の国債の市場価格が90万円になってしまえば、事実上の利率は
3.3%になってしまいます。そうなれば、新規発行する国債の利率も上げなければなりません。
そうなれば利息の支払いが増え、やはり国家財政は破綻しま
す。そうならないためには、日銀がとにかく国債を買い支えるしかありません。
この項
続く
5日(火) 7/2にも
書きましたが、2005年度の国債発行額は短期国債を除いても137兆円です。国家予算の1.7倍。東京三菱とUFJが合併してできる新銀行の預金残高が
119兆円ですから、とんでもない金額です。果たして全部売れるのでしょうか?
これまで国債は、銀行・証券会社・生命保険会社と言った企業・団体が「シンジケート団(通称「シ団」)と言うのを結成し、そこが引き受けていました。し
かし、財務省も段々とヤバくなって来たのを実感したのか、個人にも直接売るようになりました。最低金額も100万円だったのが、個人向けには1万円まで引
き下げました。
また、金利変動型の国債も発行するようになりました。7/3に書いたように、金利の上昇局面で国債のような長期の債権を買うのは評価損を出す危険性があ
ります。そこで、金利が上がった時は国債の利子も増えるようなタイプを売り出した訳です。この他、海外の投資家のために海外での日本国債の説明会なんかも
開催しています。
このように財務省としても販売努力はしている訳ですが、世の中努力したからと言って報われる保障はありません(言い訳にはなりますが)。もし、売れ残っ
たらどうなるのでしょう。
この項
続く
4日(月) 手元に100万円あるとします。銀行の金
利が2%で国債の金利が1%だったらどうします? 当然、銀行に預金しますよね。そんな訳で、国債の金利は市中金利と連動せざるを得ません。国債費を安く
済ませたいからと言って、市中金利を無視して勝手に金利を設定するわけには行きません。
さて、100万円で、期間10年・金利1%の利付債を買ったとします。ところが、5年目でお金が必要になった。この場合、債券市場で国債を売る事が出来
ます。国債を売ることが出来ると言うのは、国債を買う人もいると言う事を示しています。
さて、金利が1%のままなら良いのですが、もし5年後に金利が2%に上がっていたらどうでしょう。国債を買う人から見れば、新規発行の5年債・金利2%
のものが100万円で買えます。金利1%の10年債(5年残り)が100万円だったら、誰も買ってくれません。売ろうと思えば、95万円にディスカウント
しなければなりません。
つまり、金利が上がると、国債の市場での価値は減少します。しかも、金利が1%上がっただけで、上の場合では価値は5%も減少しています。国債発行残高
は500兆円を超えていますが、金利が上がると、この500兆円の価値が下がってしまうわけです。この事からも、この国においては金利を上げられないこと
が分かります。
この項続く
3日(日) 借金をするには担保が必要です。国債も借
金ですから、やはり担保が要ります。普通の借金では担保は土地や建物ですが、国債では将来の税収を担保にしています。
日本国は永遠に続くので、将来得られる税金の合計は無限大である。だから国債は無限に発行できる・・・ はずはもちろんありません。年間の利息が1年間
の税収を上回った時点でアウトです(実際はその前にアウトになりますが)。
過去6年、日本はゼロ金利が続いていて、新規発行する国債の利率は0.3%程度です。過去に発行した国債にはもっと利率が高いものもありますが、それを
あわせても1.8%。2004年度末
時点の国債発行残高は538兆円を掛けると9.7兆円くらいになります。
もし利率が1%上がると、国債の利払いは5.4兆円増えることになります。5.9%になると、(税収+その他歳入−地方交付税)が利払いと同額になりま
す。何があっても金利は上げられないのが、現代日本の姿です。
この項続く
2日(土) 2005年度の日本の国家予算は、約
82.2兆円です(これは当初予算なので、補正予算が組まれると変わる可能性があります)。
収入 税収:44.0兆円、 国債:34.4兆円、 その他:3.8兆円
支出 地方交付税:16.0兆円、 国債費:18.4兆円、 一般歳出:47.8兆円
国債には、利付債と割引債があります。期間10年・額面
100万円・利率1%とすると、利付債は100万円で購入すると毎年1万円の利息が付いて、10年後に元金100万円が帰って来ます。割引債は、90万円
で購入すると10年後に100万円になって帰って来ます。国債のほとんどは利付債なので、国は毎年利息を支払わなければなりません。その利息や償還用のお
金が国債費です。
さて、国の収入の4割・34兆円が国債と言うのも凄い話ですが、34兆円はあくまで「新規発行」、つまり「前年度の国債発行残高と今年度の国債発行残高
の差」でしかありません。実際に国債をいくら発行しているかというと、2005年度は何と167兆円です。この内30兆円は期間1年未満の短期債ですが、
それを除いても137兆円にもなります。
何でこんなに多いのかというと、10年前に発行した10年債
や、5年前に発行した5年債は今年償還しなければなりませんが、そのお金がないので、新たな国債(借換債)を発行してそれで償還するためです。サラ金の借
金を返済するのに、違うサラ金で借りて返すようなものです。
この項
続く。
1日(金) 佐賀に牛丼の「吉田家」ができたそうで
す。佐賀もやっと歌に追いついたか。