北海道山行記 1
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Prologue

9/8 22時半、東京FTから釧路行フェリー乗船。23:55出航。

9/9 終日船上。

9/10 6時半、釧路FT着。天気晴。釧路−厚岸−霧多布−別海−中標津−開陽台−根室標津−羅臼−知床峠−宇登呂−岩尾別 一気に300kmを駆け抜ける。知床峠は3回目の今回も霧であったが、それでも夕陽にたたずむ羅臼岳がわずかに望めた。岩尾別YH泊。もう9月だし、いいかげんすいているだろうと思いきや、宿泊数120人でほぼ満員。夜、ミーティング。「明日、羅臼岳に登る人」の問に20名ほどが挙手。昨年8月ですら、20人で多いと言われたので、今回はせいぜい4・5人とふんでいたのだが・・・。そんなにお茶の準備してないぞ。


Act  I 9/11

 目が覚めると外は小雨がパラついていた。ありゃりゃ。Telで天気予報を聞く。今日は1日こんならしい。さて、どうしようか。折角ここまで来たんだしなあ。それに、雲が高いから山頂は見えてるし、天気図を見る限り、これ以上良くはならない代わりに、これ以上悪くもならなそうだし。え〜い、行っちゃえ。

 こんな日に羅臼岳に登ろうなんて奴は灯台1人だろうと思いきや、何と他に5人も物好きが現われた。全員♂。全員一人旅。まあ、そうだろう。

 車1台とバイク1台(灯台)で、登山口の「ホテル地の涯」へ。登山者名簿を記入し、小雨の中を登り始める。樹林帯の中なので、風雨ともに気にならない。松田から来たドクター(外科医)が、最初のトップを引く。学生時代、山をやっていたと言うだけあって、快調なテンポだ。40分でオホーツク展望台。樹林帯の中の岩場で、オホーツクが望める。ここでトップ交代。灯台がトップを引く。30分で水場。ここの水が美味なのだが、エキノコックスがねえ。口をすすぐ程度にしておく。ここでトップを交代・・・したのが間違いだった。次のトップの勝田氏は、チャリンコで北海道を回っているだけあって、体力の塊。一気にペースが上がる。ついて行くのがやっと。ものの見事にバテてしまった。

 羅臼岳と三ツ峰の間の鞍部が羅臼平である。標高1,400m余。たいした高さではないが、既に森林限界は越えている。登山口から羅臼平まではダラダラ登り。そこから先は急登と言うのが羅臼岳である。そして、羅臼平の端、そこから先は岩場の急登と言う処に水場がある。岩から染み出しているので、エキノコックスの心配なしに飲めるし、何より美味。昨夏、網走で33℃を記録した日に登った羅臼岳で(暑かった!)、ここの水は素晴しい甘露であった。この水で入れたお茶を知床のテッペンで飲むために、オレは羅臼岳を再訪したのだ。1年後の羅臼平は、冷たい雨が肌を刺す生憎の天気だったが、それでも水は、素晴しい甘露だった。水筒に水を詰め、さえぎる物がなくなった雨の下、最後の登りを喘ぎながら登って行く。

 頂上に着いたのは12時少し前だった。コースタイム4時間の所を、休憩込み3時間半で登ってしまった。昼食のおにぎりを頬張る。雨は相変わらずだが、雲が高いので見晴らしは利く。遥かに続く知床連山。眼下の羅臼平・知床峠・羅臼湖。左右に広がるオホーツク。しかし寒い。風が西風なので、今までは山がバリアーになっていたのだが、ここ山頂にはモロに吹き付ける。おまけに、目の前をチラリと白い物が。雨がみぞれに変わりつつあるらしい。とてもじゃないが、呑気にお茶なんぞ入れてる状況ではない。ウィスキーのポケット瓶があったので、水割りを作る。しかし、全然暖まらない。ガスも上がって来たし、早々に撤退を決める。その前に記念撮影。全員上半身裸。やれやれ。

  

左:羅臼平にて 中:羅臼岳山頂からの展望 右:下山後、登山口にて

 羅臼平まで降りて来ると、山頂の寒さはウソの様。ともあれ、下山にかかる。途中の休憩で念願のお茶を入れ、クッキーをかじる。後は一気に登山口へ。やたらとキノコが多いのが印象的であった。

 やれやれ、やっと降りて来た。あ〜、疲れた。「ホテル地の涯」でビールを仕入れ、露天風呂に飛び込む。知床の原生林に降る雨を肴に、登山で疲れた体を露天風呂で癒しながら、ビールを飲む。この世で最高の贅沢。

 YHに戻ってもう一度風呂に入り、夕食。夜、ミーティングで登山証明をもらう。その後、パーティのメンバーで住所やら今後の予定を教え合っているうち、ドクターと長谷氏の2人が、灯台と同じ計画(明日、野中温泉YHへ移動し、明後日雌阿寒岳登山)である事が判明した。人間、考える事は同じだねえ。おまけに、女の子2人組(すみちゃん&P)まで、ドクターのレンタカーで野中までくっついて来ることになった。旅は道連れか。


Intermission 9/12

 相変わらず雨。しかも、昨日より降りが強いし、羅臼岳も見えない。寒い1日になりそうだ。パーティのメンバーに別れを告げ、ドクター&長谷氏とは再会を誓い、岩尾別を後にする。網走で寒さに耐え兼ね、1時間休憩。能取湖のサンゴ草群生地でドクターの車に再会。そしてまた、走る。雨の割にはガスがかからず、屈斜路湖も摩周湖も見えた。弟子屈で1時間休憩。あとは、阿寒横断道をノンストップ。岩尾別−網走−能取湖−美幌−美幌峠−屈斜路湖−摩周湖−弟子屈−阿寒湖−オンネトー 270km

 

左:小雨降る摩周湖 右:阿寒横断道の途中、双湖台にて


Act  II 9/13

 目が覚めると、外は素晴しい秋晴れ。絶好の登山日和。やったね。朝食をとり、さて出発、と、すみちゃんが「私、体力がないから下で待ってる」などと言い出す。山やってたって、こんな好天の山行なんて滅多にないと言うのに、そんな事が許されるはずがない。「却下!」と言って引っ張って行く。さらに、福岡から来た香取氏もパーティに加わる。計6人で、いざ出発。YHのすぐ横の登山口から登り始める。気持ちの良い樹林帯の中をポクポクと登る。ほどなく木が低くなり、ハイマツ帯となった。太陽が頭を照らす。針葉に残る露で手を濡らしながら進む。登り始めて30分ほどで森林限界。ここでしばし休憩。この先は急斜面。赤土を踏み締め、グイグイと高度を稼いで行く。眼下に阿寒の宝石・オンネトーが見え始める。そして、遥か彼方には大雪・天塩の山々が。少し雲が出て来たのが残念だけど、空は青いし、風は心地良いし、最高の秋山だな。

 「体力がない」と豪語した通り、すみちゃんが少しづつ遅れ始める。まあ、いいさ。コースタイムはたったの4時間。天気が崩れる心配はなし。どうやったって、遭難するような状況にはない。午後は雄阿寒に登ると言うドクターや、今日中に富良野まで走らなければならない長谷君には悪いけど、ノンビリ行くさ。男10人女10人のパーティの内、頼りになるのはトップを引いた阪大院生のみ。暑さでバテたおねいちゃん達を、なだめたりすかしたりしながら、ともかくも全員山頂まで引っ張り上げた昨年の羅臼岳。あの殿軍を考えれば、今回の殿軍なんて楽なものだ。サクサク先行するドクター、長谷、Pの3人を尻目に、すみちゃんを適当になだめながら、ユックリユックリ登って行く。

  

左:登山中のスナップ 中:阿寒湖を望む 右:のぞき

 何度かの休憩の後、火口壁の上にたどり着いた。ここ雌阿寒岳は爆烈火口なのである。垂直のガケを覗き込む。本人は気持ちが良いのだが、ハタから見ると非常に怖い。火口壁の上をしばらく行くと、ここが山頂。1,500m。残念ながら、知床は雲の向こう。羅臼岳が見たかったんだけどな。でも、眼下には阿寒湖や溶岩大地。そして阿寒富士やいくつもの噴煙。来て良かった。さて、山頂に着いたとなれば、まずはお茶である。早速お湯を沸かし、紅茶を入れる。茶がしはクッキーとチョコレートと桃缶。紅茶にママレードを入れてロシアンティーにしたのはチト企画倒れだったが、まあいいだろう。いい景色と爽やかな風と美味しいお茶。贅沢な旅だこと。

 

左:火口壁 右:山頂のお茶会

 下りも3人3人の2つに別れて(途中の休憩では合流するのだが、またすぐ離れてしまう)、写真なども撮りつつノンビリ進む。森林限界の手前で、大雪とオンネトーをまぶたに焼き付けるべく、しばし立ち止まる。そして樹林帯の中へ。森の香りを堪能した頃、登山口に着いた。午後1時。登り始めから4時間半。まあ、いいペースだろう。皆さん、ご苦労様でした。

 そうして、長谷君は富良野を目指してバイクで旅立って行った。香取氏も、池田に向けてレンタカーで出発。残った4人は、時間あるとてオンネトーへ。今まで登っていた雌阿寒を今度は見上げる。と、ドクターが突然「おぉ!」と大声をあげる。何でも、横に止まった車から降りてきた人物が大学時代の後輩(しかも新婚旅行中)なのだと。う〜む。世の中は狭い。

 さて、いよいよ我々も出発。灯台は帯広YHへ。ドクターは阿寒エンジェルYHに移動して、明日は雄阿寒。すみちゃんとPはドクターの車に便乗してエンジェルYH。明日は摩周を目指すとの事。クラクションを鳴らして、出発。


Epilogue

9/13 久し振りに帯広YHの連中と再会。

 オンネトー−足寄−池田−帯広 120km
 

9/14 晴のち曇。帯広YHの連中とドライブ。鮭の捕獲を見物し、ワイン城でワインを飲み、はるにれの木の下でお弁当を食べ、帯広畜産大に寄ってバター飴を買う。夜は、ホステラーが寝静まった後、ヘルパー達で宴会。まるで昔のまま。あと1ヶ月でこのYHがなくなるなんて、とても信じられない。

9/15 目が覚めると、凄まじい豪雨。こんな日に走りたくないのだが、17日には出社しなければならない。泣きたい気持ちでバイクに荷物を積む。と、玄関にドクターが現われる。昨夜泊まっていたらしい。言ってくれればいいのに。すみちゃんとPは無事摩周に向かったらしい。

 午前7時、発進。標高1,000mの日勝峠を越え、日高・西山牧場を目指す。しかし寒い。晴れていれば non stop・3時間で走り切る所、休憩2回・4時間半。辛かった。西山牧場で1年ぶりにトシちゃんと再会。13時、再び発進。14時、苫小牧着。サ店でウダウダ。18時、仙台行フェリー乗船。18時半出航。疲れのためか酔ってしまい、2度もトイレに飛駆け込む。

 帯広−日勝峠−鵡川−苫小牧 220km

9/16 9時半、仙台着。さすがに内地は暖かい(暑い)。4号線をしばらく南下し、白石ICで東北道に入る。SAで各駅停車しながら南下。段々雲行きが怪しくなり、宇都宮で遂に降り出す。やれやれ。

 仙台−千葉 420km