白峰三山縦走記
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 昨年10月に森と鳳凰三山を縦走した時、初冠雪に輝く白峰三山を望んで、いつか登ってみたいと思った。今回北岳に行く事になり(*)、それなら1日休みを取って、農鳥まで縦走することにした。
(*:大学時代の友人達と、北岳に行く事になった)

 8/27 都心を水浸しにした台風も北に去り、ようやく風雨共に弱まって来た。もっとも、JRの不通区間はまだあちこち残っている。寮に帰り着いてみると、高田さんから伝言が入っていて、車で行くとの事。電話連絡の結果、灯台と源は家田車。つつじヶ丘23時集合となる。

 8/28 1:30、石川PAで高田車(森、沼田、け〜すけ)と合流。そのまま西下。広河原で仮眠。夜明けと共に、大樺沢を登る。台風一過の素晴しい晴天。風も心地よい。もっとも人間の方は、山バテマンと化す。誠ちゃん遭難現場で黙祷の後(**)、北岳山荘へ。源は1人で幕営。
(**:何年か前に誠ちゃんがここでけつまずき、登山道から転げ落ちた。ケガは軽傷)

広河原にて/大樺沢を登る/バットレス/北岳山荘前から北岳を望む

 8/29 朝食は5時と言う話だったが、4時半に案内の放送が入った。一気に流し込んで、御来光を見に外へ出る。思いきり寒い。それでも源は元気で、朝食を作っていた。金が無いのは強い事である。5時過ぎ、雲海の彼方に朝日が登る。北岳・間ノ岳が赤く染まる。今日の行程は長いので、荷物を小屋の前にデポし、皆より一足早く出発。北岳山頂を目指す。空身なので快調快調。6:30に山頂着。仙丈・甲斐駒・間・農鳥・塩見・鳳凰、南アの山々を眼下に望む。3,000mクラスが足下とは、さすが北岳。八ヶ岳や奥秩父は雲海の中。山頂だけが飛び出している。


 

夜明けの間ノ岳/霊峰不二/鳳凰三山/甲斐駒と八ヶ岳

 ひとしきり眺めを楽しんで、さて下山しようかな、と思ったら本隊が登ってきた。結局、おくるまさんへ送る写真の撮影とか(今日は彼女の結婚式)、家田君のコーヒーやらに付き合って、山頂を後にしたのは7:20。ここからはいよいよ単独行。

 

北岳山頂(3.192m)にて/縦走路を望む

 8:00、北岳山荘発。間ノ岳への登りが始まる。それほど大した登りではないのだが、3,000mの稜線の空気の薄さと、昨日の山バテマンが回復しきっていないのとで、結構キツイ。中白峰までは割合順調だったのだが、そこから先は半山バテマンとなってしまった。ただ、天気のいいのが救いの種。遥かに富士を望み、背後にそびえる北岳に励まされながら、一歩一歩高度を稼ぐ。9:40、間ノ岳山頂着。この辺も高山植物のお花畑。ただ、さすがに北岳山頂直下には一歩譲る。

 

間ノ岳へと続く登り/間ノ岳山頂(3.189m)

 広い山頂で休憩。チョコレートをかじる。今日は天気が良いから問題ないけど、これでガスってたらルートが分からんだろうなあ。10時、間ノ岳発。農鳥小屋へは岩場の急降下。小屋は目の前なんだけど、中々近付かない。11時、農鳥小屋着。小さな小屋だ。今日の泊まりをどうしようと思っていたけれど、この時期なら何とか大門沢小屋まで行けるだろう。自炊するだけの食料はあるから、日没までに着ければいいし。とは言え時間が惜しいので、昼食はパンと缶詰の行動食とする。11:25、農鳥小屋発。

 

農鳥小屋と西農鳥岳への登り/農鳥岳の上にそびえる富士

 さて、三山最後のピーク、農鳥岳を目指す。ここの登りがかなりの急登。さっきの間ノ岳の登りでエネルギーを使い切ってしまい、完全山バテマンと化した身には非常に辛い。20m歩いては立ち止まり、を繰り返しながら、ゼイゼイと進む。何とか西農鳥岳のピークにたどり着き、「やった」と思ったけれど、そこから農鳥への岩場のトラバースがまた遠い(実際は近いんだけどね)。平らな農鳥のピークの上に富士山が顔を覗かせると言う不思議な景色を眺めつつ、息も絶え絶えになりながら、13時半、農鳥岳着。

 

農鳥岳山頂(3,051m)にて/大門沢降下点で小休止

 疲れた、もうダメ。と言った感じで大休止。水筒の水の残りをあおりながらヘタり込む。しかし、今日は本当に天気に恵まれた。この時間だと言うのにガスりもせず、富士山や塩見・赤石・荒川と言った山々がくっきりと見える。眼前には、長い長い仙塩尾根と赤い屋根の熊ノ平小屋。いつか、あの尾根を通って塩見に向かう日が来るだろうか。
 などと考えながらボンヤリしていると、業務用の巨大なビデオカメラを担いだおじさんが登って来た。農鳥の山頂にいた10人余、一様にビックリ。話し掛けてみると、ヤマケイの出しているビデオシリーズの撮影に来たのだそうだ。本当はモデルの女の子を歩かせながら撮るのだが、今年の天候不順で撮影が思うにまかせず、今回はモデルなしでとにかく景色だけ撮りに来たとのこと。エキストラになってもらえないかと言われ、14:20、皆でゾロゾロと山頂を後にする所にカメラが回る。この後、大門沢降下点でもエキストラする。このビデオ、発売は来年5月頃との事。(注:本屋の山のコーナーで売ってます)

 15時、いよいよ稜線に別れを告げて大門沢へ。標高差1,000mの急降下。疲れた体には長い行程。いい加減泣きが入る頃、17時半、大門沢小屋着。20畳に9人とは、これはラッキー。夕食後、エキストラを通じて仲良くなった同士でビールを片手に四方山話。すいてる山小屋ってのは良いもんだ。

 8/30 4時半起床。朝食をとり、朝のバスに乗るべく5時出発。大門沢を下る。何度か吊橋を渡り2時間程行くと、いきなり舗装道に出た。第一発電所よりもかなり上まで舗装工事が進んでいるらしい。ここに旅館のバスが止まっていて、風呂+休憩で1,500円払えば奈良田まで送ると言う。一も二もなく飛び乗った。


北岳の花々