「少年ジャンプ」の世界
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「週刊少年ジャンプ」で新連載を開始する場合、最初の20週間(約5ヶ月)は連載が保証されるが、その後も連載が続くかどうかは読者アンケートによる。読者アンケートの順位が低ければ、容赦なく打ち切りが宣告される。逆にアンケートの数字がよければ、いつまでも終わらない。

 従って作者は、長い長い物語の全体構想を持って連載を開始するわけには行かない。物語の後半に波乱万丈が待っていたとしても、最初の20回で読者を獲得しなければ、そこにたどり着く前に打ち切られてしまう。逆に、物語は既に完結しているのに人気があるため終わらせて貰えず、ダラダラと続ける羽目に陥る場合もあるが(例:ドラゴンボール)。

 でもまあ、これは世の中も同じかもしれない。壮大な構想を持って立ち上げた事業が、その遥か手前でポシャるのは良くある事だ。逆に、遠い先の事など考えずに目先だけを見て立ち上げた事業が成功し、次の一歩次の一歩と進んで行く内に、壮大な事業になることもある。
 
 数からすれば、目先の事だけを考えた小さな事業の方が圧倒的に多いし、成功率はどちらも大差ない。結果的に我々の目に入ってくるのは、「大きく成功した事業が最初からそれを予想していた訳ではない」、「壮大な構想をブチあげたものはほぼ100%失敗する」と言う事である。本田宗一郎が本田技術研究所を立ち上げた時に、ゴールとして今のホンダを描いていたとはとても思えないし、ビル・ゲイツだってマイクロソフトを立ち上げた時、IBMがひれ伏す時が来るとは思っても見なかったろう。織田信長が家督を継いだ時には、とにかく尾張半国をまとめ上げる事しか考えていなかったはずだ。「モーニング娘。」だって、ファーストステップは「5日間で5万枚売ってデビュー」だった。当時、誰が(当人達も含めて)今の「マザーシップモーニング娘。」「たんぽぽ」「プッチモニ」「ミニモニ」「後藤真希(ソロ)」「カントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。)」と言うやりたい放題を予想出来たろう。

 空想の世界でマスターベーションをするのが目的ならともかく、現実の世界で何か成功を勝ち取りたいなら、自分の出来る範囲内でステップバイステップで進んでいくしかない。実力があり運に恵まれれば、あるいは天下を取る事もあるだろう。それが現実であり、その現実を理解しない(できない)者は馬鹿である。